【自作自動水やり機開発記】土壌水分センサーで自動水やり機を作ることにした
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2026年3月ごろ、家のベランダでミニトマトを育てようと思ったのが、そもそものきっかけでした。我が家はトマトの消費量が結構多いので、たくさん実ったら家計も浮いて助かるなと思っていました。いざ育てる手順を考えると、一番手間のかかり繰り返し発生する作業として思い浮かぶのが水やりです。
実は家庭菜園自体は今回が初めてではなく、以前ベランダでハーブを何度か枯らした経験があります。原因を振り返ると、大抵は水のやりすぎか、逆に出張や残業続きで数日水やりを忘れたかのどちらかでした。人間の感覚や気分に任せると、思った以上にムラが出るものです。
ただ、エンジニアの端くれとしては、単純繰り返し作業はどうしても自動化したくなります。水やりくらいなら自動化できそうだ、と考えたのが最初の一歩でした。
先駆者を探したら、運用まで続けている人がいなかった
自動化するぞと決まれば、まずは先駆者探しです。Webで調べてみると、同じような自動水やり装置を作っている人はたくさんいましたが、どれも話題作りで終わっているのか、長期間運用まで続けて計測データを公開している人は見当たりませんでした。完成写真と回路図だけ載せて更新が止まっているブログや、数週間分のツイートで終わっている記録は見つかるものの、季節をまたいで「結局うまくいったのか」まで書いてある記事にはたどり着けませんでした。作りっぱなしは気持ち悪く、作ったものが目標に対してどうだったかまで考えたくなるものです。やっぱり動くものを作ること自体はそう難しくなく、運用を続けることのほうがずっと難しい。そこで今回は「作る」だけでなく「運用する」ところまでを目標に据えることにしました。
ラフに構想を練る
目標が決まったところで、まずはざっくり構想を練ります。
- メインにマイコンを置く
- マイコンのADCで土の水分量を読み取る
- 読み取った値に応じて土の乾き具合を判定する
- プランターの脇に水タンクを置き、GPIOでポンプを動かして水をやる
- 電池で動作させる
- 筐体は屋外に置くので直射日光や雨を考え対紫外線、防水(対候性)が必要
なんか行けそうな気がしてきました。構想しているときが一番楽しいですね。全体像を絵にすると、こんなイメージです。
マイコン+センサーの構成は過剰では?という葛藤
とはいえ、構想の段階でひとつ葛藤がありました。そもそも水やりが目的なら、タイマーICで数時間おきに一定量の水を出すだけの仕組みでも十分ではないか、という疑問です。 実際、市販の点滴灌水キットの多くはこの方式で、部品点数も少なく、コードを1行も書かずに完成します。 わざわざマイコンを置いて、ADCで土壌の状態を読み取り、しきい値で判定して……とやるのは、ミニトマトの水やりに対してあまりにおおげさな気がしました。
仕事であれば、間違いなくマイコンなんて贅沢でコストのかかるものは使いません。
ですが今回は自作で、お金も手間もかけるのは自分なので、文句を言う上司はどこにもいません。 というわけで、知的好奇心を優先しタイマーで一定間隔に水をやるだけの簡易的な道は選ばず、真面目に土壌の水分量を測るリッチな仕組みを設計することにしました。
電源はどうするか?AC電源・ソーラー・電池の比較
方針が固まったところで、次に考えたのが電源です。栽培しようとしているベランダにコンセントがなく、外部からACを引っ張ってくることも難しいため断念しました(そもそも雨天時の感電リスクや延長コードの取り回しを考えると、屋外で常時AC電源を使うのは避けたいところでもあります)。
太陽光発電も検討しましたが、充電先の二次電池の安全性を担保できる自信がありませんでした。スーパーキャパシタを使うことも考えましたが、マイコンやモーターを動かすほどのエネルギーは蓄えられず、これも断念しました。
結局、電池を定期的に交換する運用に割り切ることにしました。アルカリ乾電池であれば屋外使用の実績も多く、エネルギー密度の低さから万が一トラブルが起きても被害が小さいと判断し、アルカリ乾電池を使うことにしました。自作品とはいえ、安全第一です。
計測値はInfluxDBへ
もう一つ考えたのが、水やりが実際に行われたかどうかを、あとから振り返れるようにしたい、という点です。せっかくセンサーで土の状態を数値化するなら、その場限りで捨ててしまうのはもったいなく感じます。あとで校正に使ったり、データベース化して眺めているだけでも楽しめそうです。
記録先は、自宅のNASで以前から動かしているInfluxDBサーバーに決めました。すでに動いている環境があるので、新たに何かを立てる必要がなく楽です。湿度・水位・電源電圧・温度を送るようにする予定で、具体的な送信処理や、湿度の生値をどう平滑化するかといった実装の詳細は、ソフトウェア編で書きます。
さいごに
次回は、自作の良さをかみしめつつこのハードウェアを色々決めていきたいと思います。マイコンの選定から電源周りの回路、最終的にどんなセンサー構成に落ち着いたのかまで、具体的な型番や数値を交えて書いていく予定です。